アメリカの精神的な先住民族「アーミッシュの人々」のこと
アメリカの先住民族とは言えないが、近代以前の生活洋式を基本として生活するアーミッシュの人々は、現代アメリカ社会の精神的な先住民族集団と言える。
ニューヨークの西、ペンシルベニア州からカナダにいたるまでの20州にわたり、広い範囲に住んでいて、十数万人の人口を持ち、その大多数は農業に従事している。
聖書に書いてある「質素に暮らせ」という言葉を忠実に守って生活している熱心なキリスト教アナバプティスト(再洗礼派)の人々。
アーミッシュは移民当時の生活様式を守るため、原則として現代の技術による機器を生活に導入することを拒み、近代以前と同様の生活様式を基本に農耕や牧畜を行い、自給自足の生活を営んでいるのである。
彼らの生活ぶりを紹介する。
1 彼らの移動手段
自動車を所有したり、運転してはいけない。ただし乗せてもらうのはOK、移動手段は馬車か歩きである。
2 動力は電気に代わって圧縮空気
庭には小屋があって、時々ダダダダーっと大きな音が鳴る。
タンクに圧縮空気を作りためるためのディーゼルエンジンの音。アイオワのアーミッシュはあらゆる動力にこの圧縮空気を使う。
電気を使わないけれども便利にしたいための工夫と妥協の産物がこれ。
洗濯機、乳絞り機械、工具、扇風機、など動くものはほとんど圧縮空気が電気の代わりをする。
3 アーミッシュの服装
初めてアーミッシュの人たちに出会うと、制服を着ているのかと思う。
とてもユニークで、アーミッシュであるかどうか服装ですぐわかる。働くときでも、遊びに行くときでも、彼らはどんなときもこの服を着る。
4 家族全員働き者
アーミッシュはとても働きもの。夜明け前から起きて家族みんなで牛乳搾りに始まり、それが終わると男は農作業、女は家での仕事をする。
季節によって仕事は変わるが、いつも働きづめ。
5 パッチワーク・キルト
アーリーアメリカンの時代以来の伝統で、女性たちの手仕事として欠かせないものに、母から娘に受け継がれてきたパッチワーク・キルトがある。
服の余り切れなどを配色よくつなぎあわせて、ベッドカバーやタペストリーを作る。
娘が結婚するときは数枚のキルトを作って持たせるという。
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