奈良散歩 その36 唐招提寺到着


薬師寺から次の目的の寺である唐招提寺までは、距離にして1kmもない。


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 今回の旅はレンタカーでの旅だが、既に遠い思い出となった1998年(平成10年)3月25日午前中に、この二つの大寺を結ぶ道を歩いたことがある。

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 ほとんど見ることもなくなったが当時の写真が残っていて、二泊三日の奈良の旅の最終日に、バスガイドを先頭に古都の田舎町を一列縦隊で、薬師寺から唐招提寺へ向けてのんびりと歩いている。

あの時のように歩いてみるのも面白いと思ったが、今回の旅は司馬遼太郎と会津八一を両輪にしての旅なので、今回の旅の趣旨に従って旅を進めていく。


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 レンタカーで大回りしながらなんとかこの二つの大寺を繋ぐ道を20分ほど走って、午前11時前に唐招提寺に到着した。

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 唐招提寺境内案内図があったので、歩く前に伽藍配置等を確認したが、記憶に残っているとおりの堂々とした伽藍配置の大きい寺である。

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 正面が唐招提寺金堂で、この金堂の太い柱をバックに1998年3月に、一緒に旅した方々と記念写真を撮ったことがある。
 いろいろ問題があるので、この写真の公開はできないが、その写真は今でも旅の楽しい思い出とともに、書斎の片隅の書棚の中にある。

唐招提寺は、まずこの金堂から始めたい。


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 金堂の前へ進んで行くが、やはり記憶に残っているとおり金堂の柱は太くて立派で、この8本の太い円柱がこの建物の見所となっているのである。

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 今度は斜め横から金堂を見てみるが、横から見た金堂も実にいい。

このアングルの後ろに、会津八一の有名な歌の歌碑があった。


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 おほてらの まろきはしらの つきかげを つちにふみつつ ものをこそおもへ

である。


 歌の意味であるが、大寺の金堂に降りそそぐ明月の光は、ふき放しの柱の列の力強い影を生じ、その影は石畳の上におちている。それを踏みながら私は鑑真のことや遣唐使のことなど、懐古の情に耽ったことだ。


 唐招提寺は会津八一の心境になって歩いてみたい。

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