越前と若狭の旅 その25 福井県立恐竜博物館を見学
平泉寺白山神社の次に、勝山市にある福井県立恐竜博物館を訪ねたが、ここではいっそう考古学者に憧れていた頃(高校時代のこと)を思い出した。
福井県立恐竜博物館は恐竜に関する資料を展示した恐竜に関する国内最大級の博物館で、銀色に光るドームの内部にある展示室は、「恐竜の世界」「地球の科学」「生命の歴史」の3つのゾーンから構成されている。
4,500㎡という広大な展示室には、43体もの恐竜骨格をはじめとして千数百もの標本の数々、大型復元ジオラマや映像などを見学することができる。
上図は博物館の概略図で、エントランスホールに入ってから展示室へと降りる長さ33mのエスカレーターに乗って、入口の3階から地下1階へ一気に下りていく。
恐竜の骨が見つかったのは勝山市北谷というところで、ここでは現在も発掘が行われている。
発掘調査は1989年から合計7年間にわたって行われ、勝山市北谷の白亜紀前期の地層(手取層群赤岩亜層群)からたくさんの恐竜の骨や歯、足跡、卵の殻の化石がみつかった。
足跡化石からは恐竜が群れで暮らしていたことが明らかになり、また幼体の骨もみつかり、ここにいた恐竜たちの生活の様子が少しずつわかるようになってきた。
エスカレーターを下った地下1階は、ダイノストリートと呼ばれる通路になっていて、ここには芸術品のように美しい化石標本が飾られていた。
「恐竜の世界」ゾーンは圧巻だった。
長径84m、短径55m、高さ37.5mという巨大な無柱空間に、恐竜たちが生き生きとした姿で展示されていた。
入口のすぐそばにはコンピューター仕かけで本物ソックリに動くチラノザウルスの復元模型がおかれており、大きな頭や前足で脅したりする動作を繰り返しながら歓迎してくれた。
彼に遅れをとることなく43体もの恐竜全身骨格が立ち並んだ世界では、団体で見学に来ている子ども達といっしょになって、興奮しながら楽しく見学した。
ここには「恐竜のからだ・くらし」、対面スクリーンの「ダイノシアター」、ジオラマ「中国四川省の恐竜たち」、「日本とアジアの恐竜」コーナーなどもあった。
また北谷で発掘されたフクイラプトル・キタダニエンシス(カルノサウルス類に属すると考えられる白亜紀前期の全長が4.2メートルの肉食恐竜)や、フクイサウルス・テトリエンシス(イグアノドン類に属する全長4.7メートルの草食恐竜)などの恐竜全身骨格も展示されていた。
ところで恐竜の骨が見つかった白亜紀前期(約1億3000万年前)の日本はまだ中国大陸の東端となっていて、今のような日本の国の形はなく、手取層群はかなり北方の北中国地塊内部で堆積したとされている。
従って、日本で見つかる恐竜化石は東アジアの東縁の一部に棲んでいた恐竜にすぎない。
日本に恐竜が住んでいたとは言えないわけで、この辺の知識をしっかり踏まえないと勘違いすることになる。
日本の輪郭がはっきりしてくるのは約2000万年前のことで、アジア大陸東縁が局所的にリフティングされ背孤海盆が拡大、その結果として日本はアジア大陸から分離し陸孤から島孤へと姿を変えたとされている。
恐竜の他には、2階と3階に展示されているダイノラボでの考古学者の道具などに視線が釘付けとなった。
考古学者の発掘調査時のメモ帳も気になって、どんなことが書かれているのか読みたかったのだが、どうやら英語以外の外国語で書かれているようなので、内容まではわからなかった。
岩手県胆沢郡・・・、昭25年10月10日とか昭25年10月20日くらいは読めた。
恐竜相手の生活も悪くはないなと真面目に考えた。
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