横井庄一さんのライバル?、南米に今も残っている先住精霊集団「ヤノマミ族」

ヤノマミ族(ヤノマミぞく、ラテン文字:Yanomami)はアマゾンの熱帯雨林やオリノコ川(ブラジルとベネズエラの国境付近、ネグロ川の左岸支流とオリノコ川上流部)にひろく居住している、南米に残った文化変容の度合いが少ない最後の大きな先住民集団である。
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狩猟と採集を主な生活手段にしている。「ヤノマミ」とはヤノマミ語で「人間」という意味である。


人口は1990年時点でブラジルに1万人、ベネズエラに15000人の計25000人ほど、現在合わせて約28000人といわれる。

言語の違いと居住地に基づいて4つの下位集団に分けられ、南西部を占めるグループはヤノマメYanomam、南東部はヤノマムYanomam、北西部はサネマSanma、北東部はヤナムYanamとよばれる。


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彼らの住居は、シャボノと呼ばれる巨大な木と藁葺きの家である。シャボノは円形で、中央の広場をぐるっと囲む形になっており、多くの家族がその中でそれぞれのスペースを割り当てられていっしょに暮らしている。
 
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衣服はほとんど着ていない(初潮を経た女性は陰部を露わにすることを禁じられ、ロインクロスを付けて陰部を隠す)。

主な食物は、動物の肉、魚、昆虫、キャッサバなど。その特徴として、調味料としての塩が存在せず、極端に塩分が少ないことがあげられる。

主食である動物の肉を除けば、グアム島で28年もサバイバル生活していた横井庄一さんの食事に近い(横井さんは通常の食事で塩が取れないことが一番の心配の種だったが、動物は塩なしでも生きていることを思いだして耐えたという。)
その結果、彼らはもっとも低血圧な部族として有名(最高血圧100mmHg前後、最低血圧60mmHg)となっている。

女子は平均14歳で妊娠・出産する。出産は森の中で行われ、へその緒がついた状態(=精霊)のまま返すか、人間の子供として育てるかの選択を迫られる。
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精霊のまま返すときは、へその緒がついた状態でバナナの葉にくるみ、白アリのアリ塚に放り込む。その後、白アリが食べつくすのを見計らい、そのアリ塚を焼いて精霊になったことを神に報告する。また、寿命や病気などで民族が亡くなった場合も精霊に戻すため、同じことが行われる。

近年、ヤノマミ族の居住地域で金が発見され、鉱夫の流入は疾病、アルコール中毒、暴力をもたらした。
ヤノマミ族の文化は厳しく危険にさらされ、第一世界からの寄付金によるブラジルとベネズエラの国立公園サービスによって保護されており、ナイフや服などが時折支給される。

都市住民と比べて種々の病気に対する抵抗力が弱い。200911月、ベネズエラ領内で新型インフルエンザのため8人のヤノマミ族の死者が出たことが伝えられている。
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近年鉱山業者とのトラブルが相次いて、1993年、ブラジル・ロライマ州のヤノマミ集落で16人が金採掘業者に虐殺、更に20127月、ベネズエラ南部のブラジル国境付近に居住していたヤノマミ族の村を、越境してきたブラジルの鉱山業者が襲撃して村が焼き払われ約80人が死亡した。

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