甲州街道と佐久平みち その5 「甲州夢小路」で白州を飲む
明日はレンタカーで甲府から松本まで行く予定だったが、天気予報では山梨県や長野県は午後から雷雨の予報が出ていたので心配になって、急きょ松本まで電車で行くことにした。
変更したせいで、レンタカー料金がすごく安くなった。
夕食はホテルの自室で、コンビニで買ったおにぎり2個と納豆の細巻き寿司とキュウリ等のスティック野菜と缶ビール(合計1214円)で済ませた。
食事後すっかり暗くなってから、甲府駅そばの六曜館珈琲店に行こうとホテルを出たら、駅近くのイベント広場が華やかで、ついふらふらとそちらへ行ってしまった。
ここにはこんな屋台が十数軒ほど店を出していて、かなりの人で賑わっていた。
屋台から食べ物や飲み物を買ってきて、テントの張ってあるコーナーで大きな声で話をしながら飲み食いしている人たちの様子を横目で見ながら、この近くにある「甲州夢小路」まで足を延ばしてみた。
甲州夢小路は、甲府市の江戸時代から昭和時代初期までの甲府城下町を再現した観光地である。
ライトアップされた甲州夢小路をブラブラと歩いて行った。
前の建物は江戸時代に甲府城下町の住民に時刻を知らせていた「時の鐘」である。
寛文年間に現在の中央地区に建てられ、その後愛宕町へ移転し火災で焼失したが再建されて1872年まで使われていた鐘楼を再現した建物である。
高さが15mあり、甲州夢小路のランドマーク的役割を持っていて夜になるとこのようにライトアップされる。
「時の鐘」の後ろの建物が、「明治館」である。
明治時代に県令の藤村紫朗の指導で造られていた藤村式建築物を模した建物で、1階は山梨県産の果物を使用したドライフルーツ販売所、2階は「U-ME」というバーとなっていた。
そう強い気持ちもなく、フラフラと2階の「U-ME」というバーに入った。
白州はサントリースピリッツが製造販売しているシングルモルトウイスキーで、森の空気をまとったミントを感じさせるフルーティーフレーバーが特徴のウイスキーである。
数年前までは白州も安価で手軽に手に入り、以前は夏になるとロックで、冬になるとお湯割りでけっこう飲んでいたのだが、今は気楽に手に入れることのできるウイスキーでは無くなったので、飲むこともなくなった。
1杯2000円で少々高かったが、この白州を数年ぶりで、オンザロックで飲んだ。
白州には、白州12年、白州18年、さらに白州25年があり、いずれも人気がある。
写真撮影をお願いしたら、マスターがノンエイジの隣に白州12年と白州18年を置いてくれた。
このマスターとは、サントリーウィスキーの宣伝をしていた開高健の話で盛り上がった。
その話の中で、島地勝彦氏の色紙を見せてくれた。
彼は週刊プレーボーイを、100万部を売り上げる雑誌にまで成長させた編集長で、開高健のオーパなどの釣り旅の事実上のプロデューサーでもある。
彼は今東光や開高健と濃密な付き合いをしていた方で、今東光には孫のように、開高健には弟のように接していたというエピーソードの持ち主である。
バー「U-ME」では、開高健と遭遇しているかのような素敵な時間が持てた。
開高健流に言えば、「今日は無駄な一日となりそうだったが、最後の土壇場で幸運の女神が微笑んでくれて、哀れな釣り人に白州を恵んでくれた。」というような「甲州街道と佐久平みち」の旅の初日だった。
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