甲州街道と佐久平みち その20 別所温泉安楽寺

信濃国国分寺から別所温泉までは、距離にして13km程、30分程で到着の予定である。



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 別所温泉はネット情報では夕飯時に営業している店がほとんどないとうことだったので、別所温泉に探していく道中で今夜の晩飯を調達するためにコンビニを探し回っていて、結局見つけられなかった。


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 仕方なく、別所温泉駅構内にある観光案内所に立ち寄ったが、時間は午後2時になっていた。

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 観光案内所で「別所温泉街歩きガイドマップ」をもらい、案内所の方に別所温泉の代表的な観光場所である「安楽寺」と「常楽寺」と「北向観音」の位置と駐車場の場所、それに夕食を食べることのできる食堂を教えてもらった。

 ようやく一安心して、まず安楽寺に向かった。



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 安楽寺は曹洞宗の寺院で、国宝の八角三重塔があることで知られ、また長野県で最古の禅寺でもある。


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 実質的な開山は鎌倉時代に樵谷惟仙【しょうこくいせん;樵谷惟仙は、信濃出身の臨済宗の僧で、生没年ははっきりしないが、13世紀半ばに宋に留学して著名な禅僧の蘭渓道隆(鎌倉建長寺開山)が来日するのと同じ船で1246年に日本へ帰国したという。】が住してからで、寺の伝承では天平年間に行基によって建立されたとも言われ、平安末期には律宗寺院であったとされていて、鎌倉時代以前の歴史ははっきりとしていない。

鎌倉時代の安楽寺は塩田荘を領した塩田流北条氏の庇護を得て栄えたが、室町時代以降は衰退して、古い建物は八角三重塔を残すのみだという。



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 これから、その八角三重塔を見にいく。

遠くに見えるのがその塔で、かなりの段数と傾斜のある階段を登っていく。



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 そして、ようやく八角三重塔に到達した。

この塔は昭和27年3月29日に、松本城とともに長野県内の建造物として最初の国宝指定を受けたが、日本に現存する近世以前の八角塔としては唯一のものである。



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 全高(頂上から礎石上端まで)18.75メートルあり、構造形式は八角三重塔婆、初重裳階(もこし)付、こけら葺で、四重塔にも見えるが一番下の屋根はひさしに相当する裳階である。

間近から見ると荘厳で重厚で、うっとりする程の建物である。


ちなみに、奈良文化財研究所埋蔵文化財センター古環境研究室による年輪年代調査の結果、この三重塔の部材には1289年に伐採した木材が初重内部の蝦虹梁に使われていることが判明し、塔は1290年代に建築されたものと考えられ、1320年建築の功山寺仏殿を凌ぐ日本最古の禅宗様建築である可能性が高くなったとのことである。


何回も感動しながら、八角三重塔に飽きるまで見入った。

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