「鎌倉ものがたりと横須賀ストーリー」 その5 阿弥陀如来坐像を見学
次に隣の阿弥陀堂の阿弥陀如来坐像を見学した。
この阿弥陀堂に安置されている2.8mの阿弥陀如来座像は、源頼朝が42歳の厄除けのために建立したという伝承から厄除阿弥陀と呼ばれており、鎌倉六阿弥陀の一つでもある。
この阿弥陀如来像は、もとは廃寺となった誓願寺の本尊だったという。
ここで阿弥陀如来というものの簡略な説明をする。
阿弥陀如来は四十八願をかけて厳しい修行をした末に悟りを開いて如来になられた仏様で、我が国で一番多く礼拝されている。
極楽と言えば阿弥陀如来が居られる浄土のことであるが、キリスト教の天国に対して我が国では極楽と言うくらい阿弥陀如来の極楽は理想世界を表すポピュラーな言葉となっている。
阿弥陀如来の特徴は他の如来,とくに如来像の基本形となる釈迦如来とほとんど同じで,衣服や髪などでは区別がつかない。
阿弥陀如来にしかない特徴は意外と少ないが、手の形にもっともよく特徴が出ている。
ほとんどすべての阿弥陀像の両手の指は輪になっていて、阿弥陀如来を識別するには,まず輪を作っているかどうか確認することである。
この長谷寺の阿弥陀如来を見ると、やはり両手の指が輪になっていた。
この手の形を印といい、阿弥陀如来には九種類の印があるのだが、長谷寺の阿弥陀如来の印は上品上生印(弥陀定印,禅定印)というものある。
ここで九種類の印の説明をする。
まず印は,品(ほん,ぼん)と生(しょう)という二つのグループに大きく分けられ、それぞれが上・中・下に分けられていて,それらが組み合わされて九種類(3×3=9)になるのである。
品から説明すると
上品(じょうぼん)は,人指し指と親指で輪を作る。
中品(ちゅうぼん)は,中指と親指で輪を作る。
下品(げぼん)は,薬指と親指で輪を作る。
次に生について説明すると、これは手の位置がポイントとなる。
上生(じょうしょう)は,お腹の前で手を組む。
中生(ちゅうしょう)は,胸の前に両手を上げ、掌を見せる。
下生(げしょう)は,右手を上げ左手を下に垂らして、どちらの掌も見せる。
説明を図示するとこうなる。
このうちとくに上品上生印を禅定印、上品下生印を来迎印という。
このように阿弥陀如来には九種類の印があるわけだが,僕等が普通よく目にする阿弥陀如来像は禅定印と来迎印の像がほとんどで、坐像の場合は禅定印・来迎印の両方の像があるが,立像の場合は来迎印のみである。
そう怖がらなくとも、阿弥陀如来は良さそうである。
阿弥陀如来見学のあと、境内にある眺望散策路を歩き相模湾を見渡す絶景を堪能した。
阿弥陀仏に守られているような、気分のいい旅が続いていく。
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