マグリブのベルベル人
マグリブとは
マグリブとは「日没の地」という意味で、西アラブをさし、今日のモロッコ・アルジェリア・チュニジアを中心として、リビア・モーリタニアを含めた5カ国をさす。
(アラブ・マグリブ連合:上記5カ国が1989年に結成)
ベルベル人とは
マグリブに住むベルベル語を話す先住民族で、先史時代から北アフリカからサハラ砂漠にかけて住んでいた。
人種的にはコーカソイド(白色人種群)に属するが、変異の幅が大きい。
現在、モロッコ、アルジェリア、チュニジアに多く住んでいる。
<モロッコ、アルジェリア、チュニジアに住むベルベル人の比率>
○モロッコ:アラブ系65%、ベルベル系35%
○アルジェリア:アラブ系80%、ベルベル系19%
○チュニジア:アラブ系98%、ベルベル系1%
(『データブック・オブ・ザ・ワールド 2002年』二宮書店より)
ベルベル人の特徴
南方コーカソイドである。
暑さと乾燥に強い形質である。
肩幅が広い。
手足は長く指も長い。
栄養状態を考えれば身長は高い。
髭は濃い。体毛も濃い。
二重で大きな切れ長の目をしている。まつげが長い。
瞳の色は、一部「青」、茶色、黄土色など様々である。
非常に彫の深い顔をしている。
唇はコーカソイドとしては厚い。薄い者も多い。
口は大きい。
筋肉が発達しているが、細身が多い。
鼻は乾燥に適応して非常に高く長い。
肌は日焼けしなければ白い。
血液型はA型54%、O型43%、B型2%、AB型1%。
頭は長頭。(頭の前後が長い)
自由で明るい性格で「陽気」で「厳格」と評される性質を持ち、普段は陽気だが、宗教・伝統には厳格などの性質を持っている。
「カァー」となりやすい性質であるが、普段は「ニコニコ」しているといわれる。
また、非常に勇敢な民族であり、「戦士」「兵士」としての評価が世界的に高い。
美人が多いとされる。
利き手で左利きの割合が若干多いという資料もあるようだ。
ベルベル人の民俗・風習の一つ
モロッコのアトラス山脈には、古い歴史を持つベルベル人が住んでいる。 そこのある村では、年に1回「新婦の市」という行事が行われる。
ベルベル人の女性は12歳になると、この「新婦の市」に参加でき、男性に気に入られれば、両親の同意を得て交際することが許される。
モロッコの法律では、16歳以下の女性は結婚できないことになっているが、多くのベルベル人は民族の婚姻の伝統を守るため、若いうちに「新婦の市」に行って男性に選ばれる。寡婦や離婚した女性は、「新婦の市」で再び好きな男性に「売り込む」ことができ、出産と育児の経験があるため、婚約は成立しやすい。
ベルベル人の女性は嫁入り前、母親がホウセンカの汁を娘の両足に塗る儀式を行う。こうすることで、すべての災いや悪者、霊などを追い払うことができると考えられている。
また、母親は娘のひざにキスをし、娘は一定期間一人暮らしをした後、ラバに乗って新郎の家に行く。ベルベル人の婚姻では、夫が主導的な立場に立ち、妻の主人になる。
新婚初夜に妻を永遠に守ることを天に向誓う習慣がある。
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