木曽川への旅(2008年) その22 福澤桃介と川上貞奴の桃介記念館を見学
「あの1枚の写真の風景」を見たあと、桃介記念館と東山魁夷心の旅路館を見学のため、再び南木曽町へ向かった。
まず、桃介記念館である。
桃介記念館の主である福澤桃介は福澤諭吉の婿養子であり,実業家として成功した人で、日本の電力王としても名高い。

福澤桃介記念館は、電力王と言われた福澤桃介が大正年頃に木曽川の各発電所建設を進めているときに建てた別荘を、後日記念館としたものである。
この記念館には専属の女性ガイドがいて、桃介を中心に面白い話を30分程してくれて、その話を携帯に取り込んでいたのだが、いつの間にか無くしてしまった。
福澤桃介は日清紡績、矢作水力、大同電力(現・関西電力)、東邦電力(現・中部電力)、東邦瓦斯、大同特殊鋼などを次々に設立し実業家として有名だが、もっと有名なのは日本初の女優川上貞奴との恋愛である。
二人の馴れ初めは桃介が慶応大学の学生だった頃で、馬術をしていた貞が野犬に襲われるのを、学生だった桃介が助けたことで2人は恋に落ちた。
1年後、桃介は諭吉の二女・房と政略結婚し、貞奴と桃介は長い別離となる。
川上貞奴は東京に生まれ、生家の没落により芸姑となり、総理伊藤博文や西園寺公望など名立たる明治顕官らのひいきを受けたが、明治23年に川上音二郎と結婚、以後、新派演劇の発展に尽力し、日本で最初の女優と言われた。
女優を引退した後の貞奴は再び悲恋の相手だった桃介と結ばれ、事業面でも実生活でも桃介を支えた。
この福澤桃介記念館は、桃介がしばしば貞奴を伴って避暑のために長期逗留した別荘で、電力王桃介と女優貞奴のロマンスは、当時世間の注目の的だった。
桃介記念館は昭和60年から一般公開してきたが、平成9年度に当初の2階建の姿に復元したもの。
ガイドの説明を聞き、2人の写真や遺品や資料を見て回っていると、桃介と貞奴が過ごした大正ロマネスク時代にタイムスリップしたような気分になった。
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