ボルシチ(ウクライナ料理からロシア料理に)
ボルシチとは
ボルシチ(ウクライナ語で[ボールシュチュ]; 意訳:「紅汁」)は、テーブルビートをもとにしたウクライナの伝統的な料理で、鮮やかな深紅色をした煮込みスープである。
近世以後、ベラルーシ、ポーランド、モルドバ、ラトビア、リトアニア、ルーマニア、ロシアなどの東欧諸国に普及した。
現在、東欧文化圏のほかに、中央ヨーロッパ、ギリシャ、イランや、北米在住の東欧系ユダヤ人によっても作られており、多くの国で世界三大スープとして好まれている。
世界三大スープ;トムヤムクン(タイ)、ふかひれスープ(中国)、ボルシチ(ロシア/東欧)
ボルシチの語源
ボルシチの語源についてはいくつの仮説があるが、定説はない。
料理人の間で人気のある仮説としては、「ボルシチ」(Бърщь)とは古スラヴ語のテーブルビートそのもの呼称でもあり、そのテーブルビートでつくったスープもまた「ボルシチ」と呼んでいた、というものがある。
確かに、ボルシチの主な食材はテーブルビートではあるが、「ボルシチ」というテーブルビートの呼称がスラヴ諸語の辞典に登場していないので、これも仮説の域を越えない。
テーブルビート;アカザ科のビート(Beta vulgaris vulgaris L.)の中でも、根を食用とするために改良された品種群を指す。英名はBeetroot、table beet、あるいは単にbeetと表される。肥大した根は深い赤紫色で、アブラナ科のカブに似ているため「赤蕪」と呼ばれることがあり、19世紀には英語で「血蕪」(blood turnip)と呼ばれたこともあるが、ビートはアカザ科なのでカブの近縁種ではない。
ボルシチのつくり方
ボルシチは、テーブルビートとタマネギ、ニンジン、キャベツ、牛肉などの材料を炒めてから、スープでじっくり煮込んで作る。
但し、スープの中身は決まっているわけではない。それ以外の具としてソーセージ、ハム、ベーコン、肉だんご、牛肉、鶏肉などの肉類や魚のから揚げ、ズッキーニ、リンゴ、インゲンマメなどを使ったりもする。
ボルシチの素材は地域によって異なり、特にウクライナでは地方ごとに40種類以上のバリエーションがあるが、いずれもスメタナ(サワークリーム)を混ぜて食べることと、主材料にテーブルビートを使用している点は共通している。
ボルシチを特徴づける鮮やかな深紅色は、テーブルビートの色素によるものである。
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