ネクラーソフ「赤鼻の酷寒(マロース)」 から

「赤鼻の酷寒(マロース)」 (ほんの一部抜粋)


群(むら)松の梢に風が吹き荒れるのではなく
丘から小川が流れ下るのではなくて
冬将軍が巡視のために
わが領内を歩きまわるのだった。

眺め渡す──吹雪はうまく吹雪いているか
森の小道はかき消されたか
どこかに、ひびわれや裂け目はないか
どこかに、赤裸の土は残っていないか?

松の梢は雪の綿毛でおおわれ
楢には霜花が美しいだろうか?
そして、大河、小川には
氷がかたくはりつめているか?

彼は行く──樹々の間を大股に
氷がばりばりと音たてる
むくむく生えた頬ひげに
明(あか)い陽がたわむれている。

魔性のものにはどこにでも道はある
そら! そこへ 白髪頭がやって来る。
たちまちに、かの女の上へ
すぐ上へ、頭の真上へ!

大きな松のてっぺんへのぼって
枝を指でへし折り
自分勝手に、投げやりに
自讃の歌をうたっている。

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