津軽街道をゆく(2013年の旅) その47 縄文時遊館で昼食、その後青森県立美術館に
ボランティアガイドの案内がすべて終わった。
僕は今、六本柱の建物から20m程離れた場所にいて、司馬遼太郎の「北のまほろば」を思い出しながら、六本柱の建物に見とれている。
司馬はこの六本柱の建物(高楼)を現場で見てこう想像する。
人々は、丸木舟に乗って、海で漁をする。おえると、この高楼をめざして帰ってきたのにちがいない。
夜、漁からもどらない者があると、「高く、火を焚け」というのが、首長だったにちがいない。闇の海で方角をうしなった者は、望楼の火を見つつ帰ってくる。
司馬が想像した光景を、僕もこの場で想像した。
世界でいちばん食べものが多くて住みやすい、北のまほろばと言える青森県三内の縄文時代の光景を。

遺跡見学後縄文時遊館で、きのこ三種うどん(ならたけ・なめこ・ひらたけの三種)と縄文古代飯おにぎり(古代米を栗・帆立・山菜で炊き上げたもの)を食べた。
合計金額は880円だった。
昼食後、三内丸山の縄文遺跡に隣接して建てられている青森県立美術館に向かった。
縄文文化のロマンに思いをめぐらせ、北東北から芸術文化の発信をするためにこの美術館は建てられたという。

この青森県立美術館には、有名な犬がいる。
青森県弘前市出身の画家であり彫刻家でもある奈良美智氏の「あおもり犬」である。
身体の半分が地中にあるのは、三内丸山遺跡をイメージしたものだとのこと。

この犬は常設展示室からつながる屋外トレンチに設けられた高さ8.5mの立体作品。
作者の奈良美智だが、女性名にしか見えなかったので、「ならみち」と読むんだろうなと勝手に解釈していた。
その後旅先の弘前で、ガイドをいただいた夕暮れ路地裏探偵団長から、弘前市の吉野町緑地公園にある「あおもり犬」と兄弟犬の「A to Z Memorial Dog」の作者が「ならよしとも」と紹介されて、やっと奈良美智が男性だということを認識した。

それというのも、おでこが出てきつい目の不機嫌そうな表情をした女の子の作品が、ずらりとこの美術館に並んでいて奈良氏作品とあったので、この女の子は奈良氏ご自身なのかなとも思って、なおのこと女性だと錯覚してしまったのだ。

これは、挑戦的な目つきの子供が戦争兵器に乗るという、奈良作品を象徴する作品で、タイトルは「Pancake Kamikaze」、ぼくでも神風特攻隊を思い浮かべる。
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