直江兼続の旅 その12 安吾岩
1994年10月23日・24日に「温泉同好会」のメンバーで旅した秋の旅から、2009年8月22日・23日に挙行した「直江兼継の旅」に話を戻す。
この旅では午後1時過ぎに直線道路を左折し、写真左手の家の奥に続いている横道に入り、案内看板通り500m程走って植木旅館前に到着した。
植木旅館は15年前の1994年10月に泊った時と同じように、まるで時の流れに逆らうかのように、少しも変わらないで悠然とそこに建っていた。
植木旅館に立ち寄ったあと、少し離れた露天風呂「翠の湯」にも立ち寄った。
植木旅館から、今度は3km程離れた「安吾岩」まで走った。
ここには、「安吾岩」という名のバス停まである。
兎口と松之山温泉街の中間地点の曲がりくねった細い道の先にある「安吾岩」は、安吾がこの上にせり出している岩に腰かけていたとか、小説「逃げたい心」の中では一行が謎の農婦に石を落とされて慌てた場所とされている。
「安吾岩」の説明看板が気になったので読んでみたが、ここには小説「逃げたい心」に書かれたこのあたり一帯の風情が鮮やかに描かれていた。
「農家の娘が男女混浴の浴室の中で均整のとれた銅色の皮膚にほれぼれする山中の多彩な色情に深い眩暈を覚えたり、この岩の下で突然頭上から岩を落とされた時は、結果の恐ろしさよりもただ岩を落としてみたい興奮に酔い狂い、慌てふためいて逃げてゆく歓喜にふるえる張りきった胸や、ギラギラと光る眼、羚羊(かもしか)を思わせる柔軟な身体の動きが自然の懐にいだかれた激烈な情熱を空想したという」
「安吾岩」の辺りにも、坂口安吾の愛した松之山の風情が生々しく生きていた。
8月にここを通ったので岩は緑で覆われてよくわからず、岩から沁みだした水が側溝に勢いよく流れて心地よい音を立てていた。
8月にここを通ったので岩は緑で覆われてよくわからず、岩から沁みだした水が側溝に勢いよく流れて心地よい音を立てていた。
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