天竜川の旅その33 秋葉神社上社を歩く
秋葉神社上社の祭神は、火江戸時代以前は、三尺坊大権現を祀る秋葉社と、観世音菩薩を本尊とする秋葉寺とが同じ境内にある神仏混淆の形式で、これらを事実上ひとつの神として秋葉大権現や秋葉山などと呼んだ。
現在の祭神は、之迦具土大神(ひのかぐつちのおおかみ)である。
古事記の中の日本創世記の中の神様の一人である。
その之迦具土大神の神殿の境内を歩いて行く。
正面に見えるのは、西ノ閽の神門(ニシノカドモリノシンモン)である。
平成17年竣工で高さは13m、部材はすべて、地元産の天竜杉を使用しているという。
この門の近くまで歩いて、上を見上げた。
神門四隅には南部白雲作の四神(青龍・朱雀・玄武・白虎)が彫られているが、この写真には、玄武(左)と白虎(右)がいる。
向こう側には青龍と朱雀が掘られている。
参道を歩きながら之迦具土大神の話を進めて行く。
この神は、伊邪那岐命と伊邪那美命夫婦の神の子どもである。
国産みがほぼ完成し国土が成立し、海や川や野や山や集落などの環境が整い、必要なのは人間を温め、食べ物を煮たり焼いたりするエネルギーとなる火だった。
そこで伊邪那美命は火の神「火之迦具土神」を産んだ。
しかし伊邪那美命は火の神の誕生により瀕死の大やけどをおってしまった。
最終的に伊邪那美命は火の神の出産が原因で死に至り、夫である伊邪那岐命は怒りのあまり、赤ん坊の火之迦具土神の首を刎ねてしまった。
火之迦具土神の神殿を更に進んで行く。
ここは神殿というよりもお城のような景観で、ここから右方の拝殿に上がる階段を進んで行く。
「ひのかぐつちのかみ」の「ひ」は霊(ヒ)、「かぐ」はかぐや姫の「カグ」で「光」の意味である。
火は神聖にして光り輝いてはいるが、非常に取り扱い難い危険なものでもあった。
火の話をしている間に、山頂の秋葉神社上社本殿に到着である。
ここの金色に輝く鳥居は見事で、幸福の鳥居と名付けられている。
それをバックに、通りすがりの観光客に頼んで記念写真を撮った。
幸福の鳥居は、謂れもあるのでここで紹介する。
今日は天竜川の旅の河口部到達を最大にして唯一の目標として旅を進めているが、一先ず中間地点の距離となる秋葉神社上社の制覇達成である。
神の領分の領分のものだった火を手に入れた人間は、他の動物と比較にならない幸福を手に入れた訳だが、自分たちでは制御できない幸福を得た代償も、この当時の人間にはあったというような決論となる古事記の話である。
それでは幸福の鳥居をもう一度眺めながら、秋葉神社上社を去ることとする。
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