開高健  オーパ!!

 憧れのアマゾンとアンデスだが、いろんな作家がアマゾンのことを書いている。



 僕は、中でも開高健の「オーパ!」に魅かれる。


 アマゾンの本拠地ブラジルでは、驚いた時や感嘆した時に「オーパ!」という。

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 この本は、そんな驚きの連続となる彼のブラジル釣行の記録である。



 でも、この本にはちょっとしたほの酢っぱい懐かしい思い出がある。



 僕は開高健には高校時代に出会っている。



 高校の図書館で受験勉強にも飽きて、少し不純な目的で本を探していたら、開高健の「オーパ!」に偶然、出会 った。



 それは偶然の出会いであったか、必然の出会いであったかわからない。



 日頃気になっているがそう会話も交わしたことがなかった同級生のAさんを見かけ、彼女の姿が見えなくなってからそのあたりの本棚を覗いていたら、この本が目に留まったのだ。



 Aさんはスレンダーな、花でいえばラベンダーを思い浮かべるような感じの女性だった。



 僕は彼女がどんな本を読んでいるのかやはり興味があって、彼女のラベンダーのような残り香が漂っている気配の夏の午後の図書館で、かなりの心臓の高鳴りを自覚しながら、開高の本を開いていた記憶がある。



 彼女が図書館から出たのを確かめてから、僕は彼女の居たあたりの書棚の本をパラパラとめくっていたのだ。



 その書籍群の中に、開高健の「オーパ!」の本があり、そこにはたった今入れたと思われる、南米の町の風景が描かれた綺麗なしおりがはさまっていた。



 別に彼女の入れたしおりという確証はなかったが、その時の僕は90%以上の確立で、彼女の入れたものだと信じ込み、その「オーパ!」という本を、夕暮れの日差しがまぶしくなって時間の経過に気づくまで夢中で読んでいた。



 彼女の読んでいた本なんだなという興奮もあって、僕は3時間で「オーパ!」を読みきった。



 面白かった!!



 開高健という作家にも興味を持ったが、南米のアマゾン川での釣りにも憧れを持った。



 この時の僕は、いつか開高と同じところでピラニアを釣ったり、願わくば幻の古代魚であるピラルクーも釣りたいと、夢のような旅を夢想していた。




 ここで、開高健がこの本で引用していた中国古諺を載せます。



 1時間、幸せになりたかったら

酒を飲みなさい。



 3日間、幸せになりたかったら

結婚しなさい。



 8日間、幸せになりたかったら

豚を殺して食べなさい。



 永遠に、幸せになりたかったら

釣りを覚えなさい


 なるほどと思ったり、そうかなあと思ったりしますよね。
 まあ、釣師だから釣りが一番だといいたい訳だ。


 開高健は、この他にも心に残る言葉をいっぱい残しているが、その一部を、ここで紹介する。


   開高健の名言から


  無駄を おそれてはいけないし

  無駄を 軽蔑してはいけない。

  何が無駄で 何が無駄でないかは

  誰にもわからない。



  かくて、われらは 今夜も飲む。

  たしかに芸術は永く 人生は短い。

  しかしこの一杯を 飲んでいる時間くらいはある。

  黄昏に乾杯を!



  成熟するためには 遠回りをしなければならない。



  右の眼は 冷たくなければならず

  左の眼は 熱くなければ ならないのである。

  いつも心に氷の焔を つけておくことである。



  明日世界が滅ぶとも 今日君は林檎の木を植える。

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