新神戸ものがたり その7 うろこの家

 北野異人街の歴史の概要を見たところで、異人館に突入する。

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 急傾斜のオランダ坂を上ると、正面に北野異人街の一番高台に建っている「うろこの家」が見えてくる。

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 まず最初は、この「うろこの家」からである。

 うろこの家は神戸で最初に公開された代表的な異人館で、国の登録有形文化財や兵庫県住宅百選にも指定されている伝統的な建築物である。

 外国人のための高級借家として明治後期に居留地に建てられ、大正に入ってから現在の場所へ移築されたと伝えられている。

 最後の住人はE・ハリヤー氏で、1953年から1968年までこの「うろこの家」で暮らしていた。

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 外国人設計者による木造2階建て切妻屋根の黒桟瓦葺きの洋館で、天然石のスレートで覆われた建物の外壁が魚のうろこに似ていることから「うろこの家」と愛称で呼ばれている。

 スレートとは粘板岩と言われる堆積岩の一種で、日本では瓦や硯などに古くから使用されている天然石で、建物を覆うスレートの枚数は約3000枚とも言われている。

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 中に入って、客室や使用人室、サンルーム、暖炉が設けられている部屋などを見た。

 以前は中央の円筒形の塔部は2階から螺旋階段で3階の塔屋へと続いていて、その展望室から貿易商は彼らの貨物を積んだ船の入出港をウォッチしていたそうである。

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 「うろこの家」の廊下や部屋の中には、コレクションされたヨーロッパの近・現代絵画の名作などが展示されていた。

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 次に隣接する「うろこ美術館」に入った。

 うろこの家の西隣に建設されている美術館で、「うろこの家」の姉妹館として1982年に開館し、ここではヨーロッパの近・現代絵画の名作を幅広く収集して展示している。

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 特にトロワイヨン(バルビゾン派)の風景画の大作や、マチス、ユトリロ、ビュッフェら近・現代の人気画家の佳作、さらに3階展望ギャラリーでは、地元の画家で、画壇の芥川賞と称される安井賞のグランプリを受賞した堀江優の代表作を展示している。

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 標高150mに位置する3階の窓からは、神戸の街と港、はるか大阪港や淡路島まで広がる神戸・北野異人街随一の眺望が楽しめた。

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