探険家列伝第1部 その1 関野吉晴-グレートジャーニーの旅

 今のところ、一番惹かれる探検家は関野吉晴か。

  1949年東京生まれ、探検家でありかつ医師でもある関野吉晴。一橋大学法学部卒。
 その後社会人になってから、探検家としてやっていく上で医師の資格の必要性を感じ、 横浜市 立大学医学部に入り、卒業後、医師免許を取得。
 一橋大学時代に探検部を創設。
 アマゾン全域踏査隊長としてアマゾン川全域を下る。
 以来30年にわたり、アマゾン源流、オリノコ川上流、中央アンデス、ギアナ高地、パタゴニアなどの秘境を訪れる。

 グレートジャーニーは関野吉晴の最大の探検の旅で、1993年12月5日、南米最南端であるパタゴニアのナバリーノ島から出発、南北アメリカ大陸を横断、ベーリング海峡を横断、ユーラシア大陸を南下し、2002年2月10日、中央アフリカのタンザニアにある人類発祥の地、ラエトリに到着した。

 あしかけ10年にわたる、壮大な旅である。

 ただ、世界史上の探検家となると、関野は今のところは門外漢ということになるであろう。
 ある程度の時間の経過による世間の風圧に耐えて後、探検家としての評価は固まり、それは歴史に刻まれることになる。
 ここの、コーナーでは歴史上に足跡を残した古今東西の著名な探検家にスポットを当てる。関野は、その一番目の男である。

 その関野の旅から、犬ゾリの旅を紹介する。
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 南北アメリカ大陸の旅をアラスカ西部でしめくくる。ツンドラが続く700キロの雪原を、自分でソリを引いて歩こうと思ったが、シロクマが多いため昔ながらの犬ゾリに乗ることにした。
 
 1週間の犬ゾリの特訓を受けて、2月16日に3台のソリで出発する。「犬は、呼吸が合ってくれば素晴らしい旅仲間だ」と経験者に言われたが、どうやらそこまでいくには時間がかかりそうだ。犬に走るのを任せておくと、ソリはカーブや斜面のたびにひっくり返る。


 平坦な道でもトレイルがないと犬は進路に迷って止まってしまう。そんなときは人間がソリの前をスキーで進まなければならない。起伏の激しいなか、重いソリは深い雪に何度ももぐる。そのたびにソリを引き起こすのも大変な作業だ。


 いつもは使わない筋肉がきしむ。湧き水が凍ったところではソリが1メートルも宙に浮いて硬い氷に背中から叩きつけられた。激痛で呼吸が止まる。仲間も転倒を繰り返し、3人が肋骨を折った。混乱の雪原行の始まりだ。


 続いてトナカイゾリの旅を紹介する。(気分はサンタクロースとのこと。)
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 カムチャッカ半島の北部では、先住民族コリャークが伝統的なトナカイ放牧を続けている。
 彼等に教わって、伝統的なトナカイゾリに挑戦した。

 手綱と鞭でトナカイを操る。ちょっとした凸凹でもソリは簡単にひっくり返る。

 最低気温はマイナス35度まで下がるというのに、額や胸から汗が吹き出てくる。
 ツンドラは、果てしなく広大で白い。

 どんなテーマパークも真似できないおとぎの国だ。気分はサンタクロース。

 早く無事に目的地に着きたいといつも思うのに、今度ばかりは「このままずっと乗っていたい」
と願ってしまった。

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