吉備王国へのみち その24 吹屋に到着

 備中高梁駅へ戻り、高梁バスセンターから吹屋行きのバスに乗った。

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 備北バスのこの日の運転時間は、午前10時50分発と午後1時50分発の2回で、もちろん午後1時50分発のバスで吹屋に向かった。

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 地図右下の備中高梁駅から1時間ほどバスに乗って、赤☆印の吹屋までの旅である。

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 吹屋は1955年まで存在した川上郡吹屋町(現在の高梁市成羽町吹屋・同坂本・同中野のこと)で、標高550mの高原地帯に位置する。

 石州瓦とベンガラ漆喰壁の赤い町並みで知られ、歴史的町並みの残る6.4ヘクタールの範囲が重要伝統的建造物群保存地区として選定されている。

 江戸時代中期頃より、幕領地として吹屋銅山を中心とする鉱山町へと発展し、幕末頃から明治時代にかけては、銅鉱とともに硫化鉄鉱石を酸化・還元させて人造的に製造したベンガラ(酸化第二鉄)における日本唯一の巨大産地として繁栄を極めた。

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 主に美術工芸用の磁器の絵付け・漆器、神社仏閣のベンガラ外壁塗装に多用され、最盛期には銅山で働く従業員数が1200人にのぼり、山間に忽然と存在する吹屋集落のベンガラ格子と石州瓦による赤褐色の重厚な商家の町並みが昔日の繁栄を象徴している。

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 吹屋集落の町並保存地区や中野地区、坂本地区、下谷地区は1974年に岡山県の「ふるさと村」に指定された。

 また、1977年には岡山県下初の国の重要伝統的建造物群保存地区として選定され、現在は周遊型観光ができる産業遺産である。

 しかし、吹屋は標高550mに位置する町であり、その立地から周囲に娯楽施設などは一切ない。

 商店や飲食店も数えるほどで、生活用品や食料など、まとまった買い物をする場合はバスや自家用車で約1時間かけてJR伯備線の備中高梁駅周辺まで出る必要がある。

 日中でも住民の外出は疎らで飲食店などは15:30ごろには閉店してしまい、出発するバスもその時間帯が最終便となる。

 地域内に警察組織はなく、この地区を管轄する高梁警察署坂本駐在所まで3kmほどあり、やはり有名な観光地とはいえ、山奥に近い生活環境の場所なのである。

 バスは順調に山道を走って、予定時間に吹屋のバス停に到着した。

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 観光案内書に吹屋の「町並み保存地区」が載っていたので、これを参考にここを歩いてみることにした。

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 ただし、帰りのバス時間が15時45分発なので、見学時間は1時間弱である。

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