石狩川への旅 その5「小樽運河」にて

 樽と言えば、一番先に思い浮かべるのが運河。 
 観光用写真には必ず運河と倉庫群の絶景が登場し、小樽への旅情
をそそる。 
 大正12年(1923年)に完成したこの運河は内陸に水路を掘ったものではなく、沖合を埋立て、陸との間に出来た水路であり、「埋立て式運河」
と呼ばれる。
 僕は北運河の運河公園
の道路に無断駐車(北運河近辺は無断駐車と思われる車両が並んで留めてあった。駐車代金の節約ですが、少し心配だった。)して、早速運河散策を開始した。 
 曇ってはいるが、散策するには絶好の場所、小樽っ子の自慢の場所なのだが、今は観光客で連日溢れかえっているようである。
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  ここは、埋立前の運河幅を持つ「北運河」埋立後半分の運河幅になったいわゆる小樽運河」の境界地点である。  
 運河は戦後になって樺太がロシア領となり、樺太等との交易がなくなったため、物流の拠点としては急速に廃れて、運河にはヘドロがたまり悪臭が漂うようになった。  
 1960年代に入り、運河を埋め立てて、道路として整備する方針が小樽市から打ち出された。それに対し運河の保存運動が全国規模で高まり、市側は当初の全面埋め立てに対し、運河の半分の幅を残す妥協案を提示し、1983年には埋め立て工事に着手した。 
 埋め立てられた部分には散策路やガス灯が整備された。  
 その部分に、観光客を乗せた人力車が止まっている。  
 大きく様変わりした運河周辺は、小樽の一大観光スポットに成長し、1996年には都市景観100選を受賞した。
 
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 中央橋浅草橋に挟まれたこの辺りが最も景観的には優れたスポットとなっており、素人絵描きさんが何人も写生をしており、半プロさんや商売屋さん達が「都市景観100選」に選ばれるに足るだけの素材で描かれた作品を販売している。  
 その優れた景観のためか、観光客が一番多く集まっているのもこの辺りで、みやげ物屋も数多く出店しており、僕もミネラルウォーター「小樽の水」を100円で購入し、ここからは水を飲みながらの散策となった。  
 ついでに持ってきた携帯にイヤホンを接続し、CDからダビングした韓ドラソングを聞きながら歩いてみた。(もちろん、冬ソナも聴いたよ。)  
 運河倉庫群の人気だが、右手中央部分の通称赤倉庫が一番人気だそうで、この赤倉庫中心に描かれた絵が売れ筋だとか、半プロさん?が話してくれた。(僕も旅の帰りの早朝、観光写真並みの自作品を数枚撮る事に成功した。)

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  これがその作品の内の1枚ですが、いかがでしょうか。(運河に映った倉庫群が良いでしょう?)

 ガス灯の上には友情出演のつもりか、かもめさんまで留まってくれて、作品に華を添えている。  
 僕のような素人でもこの程度の写真は、天候が大崩れしなければ撮影可能である。 
 絵描きさんや写真屋さんなら一日中でも運河近辺を歩き回り、入魂の1枚を描き上げたり撮影したりしたい小樽運河である。 
 もし、小樽の街に小樽運河と倉庫群がなかったら、それこそ目玉商品のないバーゲンみたいなもので、観光客は鰊漁のように激減するだろう。 
 鰊漁は激減したが、
小樽には小樽運河と倉庫群が残った。
 
鰊の群れのように殺到する観光客の落とす金は、この街を豊かにする。
 
ゴールドラッシュは終わらない。
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 小樽は運河がなきゃ、何にもない街ですよ、運河で持ってるんです。 
 運河付近で商売しているおばさんは、僕に、実に単純明快にこう言った。 (それだけではけっしてないと、僕はおもうけど・・・・・)

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