人種、民族、国家 その3 「民族」の簡略な定義と複雑な「民族問題」
「民族」の簡略な定義
文化、言語、生活様式などの特定の要素を絆(きずな)として共有し、「われわれ」という意識を持った人間集団。
(1)「文化、宗教、言語、生活様式、肌の色など身体的形質」を標識として、他集団との相違を確認できる客観的な側面がある。
(2)歴史意識、利害関心、未来志向などを介して、集団に共属しているという意識や感情の主観的な側面がある。
そのため民族やエスニック・グループ(多民族国家における少数民族集団)は固定した集団ではなく、歴史的に変化し、社会的文脈によって客観的標識も異なる。
また、少数民族がその内にさらに少数集団を含むことも多い。
民族とエスニック・グループとの相違は不明確である。
ただし民族という用語の方が古く、また「民族自決」「少数民族運動」といった用法のように、集団が自治や国家形成など政治共同体としての要求を持つと認められた場合には、民族と呼ばれることが多い。
複雑な「民族問題」
僕らが思っているほど、民族は簡単ではない。
従って、民族問題も複雑なものとなる。
次回からは、世界中に拡散し、紛争の種となっている「民族問題」に焦点をあて、考察していく。
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