探険家の歴史 第2部最終章 ナイル河の旅 序章
探検家リビングストンが発見したビクトリアの滝
(ジンバブエのザンベジ河畔の町、リビングストンにある) ↑
ナイル河、「5大陸最長河川の旅」最後の河であり、世界最長の川である。
その長さは6695km、アフリカ大陸の東側を、赤道直下から悠々と北上して流れ、地中海に注ぐ。
ナイル河の源流については、プトレマイオスの時代では伝説の月の山(ルウェンゾリ山)とされていたが、現代ではタンザニアのビクトリア湖が源流とされている。
月の山 ↑
ただ、ビクトリア湖に流れ込む川が存在し、正しくは、ナイル川の最上流は、ブルンジのルヴィロンザ川の源流地ということになる。
ビクトリア湖からはヴィクトリアナイルとして知られる。
約500km下流に行くとキョーガ湖を経てアルバート湖に着く。
アルバート湖からはアルバートナイルとして知られる。
スーダンに入り、支流のバハルエルガザル川と合流する。
そこからは白ナイル川とよばれる。
白ナイル川はスーダンのハルツームで、エチオピアのタナ湖から流れてくる青ナイル川と合流する。
ハルツーム市内の白ナイルと青ナイルの合流点↑
エチオピア高原を流れる青ナイル川はナイル河のもう一つの源流である。
タナ湖畔の南側から注ぐ河川にある「青ナイルの滝」↑
さらに、ハルツームから約300 km下流で、支流のアトバラ川と合流する。
エジプトに入ると、アスワン・ハイ・ダムとそれによって出来たナセル湖がある。
それからさらに北へ流れ、ルクソール、カイロを流れ、地中海に注ぐ。
ナセル湖畔にあるラムセス2世建設のアブシンベル神殿 ↑
ナイル河口の街アレクサンドリアにある「カイトバイ城塞」↑
アフリカ大陸は、面積は3030万平方キロメートルで、世界全体の22.3%を占め、人口は8億5000人で、世界人口比では13.7%を占め、53の独立国によって形成されている。
アフリカというと、僕は最初にシュバイツアー博士や野口英世博士のことを思い出す。
「シュバイッアー博士は33歳までは自分のために、33歳からはひとのためにと生きようと心に決めていたという。この33歳とはキリストが十字架にかけられた年齢・・・・・。」
その意思に従い、アフリカの貧しい人々のための医療に自分の半生を捧げた人。
野口博士は、ヨーロッパで蛇毒や梅毒の研究で成果を収めたあと、アフリカへ渡り黄熱病の研究を行い、志半ばで黄熱病に感染し、偉大な生涯を閉じた。
ナイル源流を目指した探検家のリビングストンもキリスト教の洗礼を受けた医者だった。
ジンバブエのザンベジ河畔の町、リビングストンにあるリビングストン像↑
覚悟を決めていなければ、アフリカはまともな人間の行けるところではなかった。
アフリカはサハラ砂漠を境にして、北アフリカ(ホワイトアフリカ)と南アフリカ(ブラックアフリカ)に分かれる。
青がホワイトアフリカ、残りはブラックアフリカ(緑;西アフリカ、ピンク;中央アフリカ、オレンジ;東アフリカ、レッド;南アフリカ)↑
北アフリカは地中海に接し、イスラムの文化圏に属し、エジプト文明の頃からヨーロッパ圏の文化の影響を受けて来た。
北アフリカ第一の都市「カイロ」市内風景↑
一方サハラ砂漠以南は、人類が発祥した(タンザニアのラエトリがそこ)にもかかわらず、広大な砂漠地帯と恐ろしい病原菌に覆われた湿原地帯に行く手を阻まれ、ヨーロッパ諸国からは「暗黒大陸」と銘々され、その全貌を知ることは困難だった。
最悪の白ナイル流域熱帯雨林地帯「サッド」病原菌の巣窟↑
この北と南の平均寿命はおおよそ北では70才、南では40~50歳といったところで、現代人にハビコル最悪のエイズウィルス感染者数は、世界合計患者数が4000万の時に、3000万はこのブラックアフリカ地域の患者だった。(2001年の統計)
今でも暗黒度NO1といったアフリカのサハラ以南の旅もナイル河の旅では試みることになるが、エイズを始め、強敵ぞろいの対戦相手が行く手に立ちふさがり、リビングストンやスタンレー、時代を下り、シュバイッアーや野口英世の時代といくらも変わらない?旅となるのではと考えている。
何時ものように河口からスタートということになるが、エジプト文明を考察しながらの前半の旅と、病原菌や猛獣と向かい合わせとなる後半の旅とでは、天国と地獄程の差があるように感じる。
ただ、最悪の地を抜ければ、そこにはプトレマイオスの時代の憧れの山岳、月の山(ルウェンゾリ山)がそびえ、その後、人類発祥の地タンザニアの「ラエトリ」への寄り道も計画しているので、気分はいくらかは明るくなって来ている。
いよいよアフリカ、ナイル河の旅の始まり。
次回はアレキサンダー大王の創られたアレクサンドリアの街でお会いしましょう。でも、心は人類発祥の地、オルドバイ渓谷にあるよ。
人類発祥の地、オルドバイ渓谷デス ↑
この記事へのコメント